将来の生活資金や老後の備えとして、株式や投資信託といった資産運用を始める方が増えてきました。その中で、さらなるリスク分散や安定収入を目指して
「不動産投資」に興味を持つ方も少なくありません。
一方で、「不動産投資はやめた方がいい」といった否定的な情報を見聞きし、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産投資が「やめたほうがいい」と
言われる背景や、実際に起こりうるリスク、そして失敗を避けるための対策について解説していきます。
不動産投資は「やめたほうがいい」と言われる理由とは?
ある程度の初期資金が必要
不動産投資を始めるには、まず物件を購入する資金が必要です。
理想は現金一括での購入ですが、実際には多くの方がローンを利用しています。
一般的には、自己資金を頭金として用意し、残りは「不動産投資ローン」でまかないます。
ローンの借入額は金融機関にもよりますが、年収の5~10倍が目安です。
また、住宅ローンと比べると不動産投資ローンの金利はやや高く、1~3%程度になることが多いため、資金面のハードルが高く感じられることがあります。
各種の税金負担がある
物件を購入するだけでなく、不動産投資では家賃収入などに対しても税金がかかってきます。そのため、
購入資金以外にも税金や諸経費を見込んで資金計画を立てる必要があります。こうした点も「難しそう」と感じられる理由のひとつです。
不動産投資の収益はどう生まれる?
不動産投資では、主に以下の2つの方法で収入を得ることができます。
インカムゲイン(家賃収入)
インカムゲインとは、物件を貸し出すことで得られる
家賃収入など、定期的に得られる収益のことを指します。株式投資でいうところの「配当金」と似たような位置づけになります。
キャピタルゲイン(売却益)
キャピタルゲインとは、物件を購入した価格と売却した価格との差額による利益です。株の売買でいう
「安く買って高く売る」ことで得られる利益と同じ考え方です。
このように不動産投資では、家賃収入による安定した収益と、物件売却による利益の両方が見込めます。
また、ローンを活用することで自己資金が少なくても大きな金額の投資ができるのも特徴です。
さらに株式投資と比較すると、家賃収入は価格変動の影響を受けにくく、比較的安定した収益が得られる点も魅力です。
不動産投資に潜むリスクとその対策方法とは?
■ 空室リスク
物件に入居者がなかなか見つからず、空室が続いてしまう可能性があります。空室が長く続くと収益は当然下がってしまいます。
物件購入時には、空室をある程度想定したうえで収支シミュレーションを行い、利回りの前提条件をしっかりと確認することが大切です。
■ 家賃滞納のリスク
入居者が家賃を支払わなくなるケースも考えられます。特に家賃が低い物件では、経済的に余裕のない入居者が集まりやすく、滞納のリスクが高くなる傾向があります。
また、築年数が経って物件の競争力が落ちてくると、家賃を下げて募集することがありますが、安易な家賃の値下げはかえって滞納リスクを招くことも。
定期的なリフォームや差別化された設備・サービスを取り入れることで、魅力ある物件を維持し、安易に家賃を下げない工夫が重要です。
■ 家賃下落のリスク
・土地の価格下落
周辺の学校や施設の移転などにより立地の魅力が低下すると、地価が下がることがあります。物件購入前には、地域の再開発計画や都市計画など、将来の変化を事前にチェックしておきましょう。
・事故や事件による影響
万が一、物件内で自殺や孤独死などの事故が起きると、いわゆる「心理的瑕疵物件」となり、入居希望者が減ることがあります。このようなリスクに備えて、孤独死対応の保険なども検討しておくと安心です。
■ 建物の老朽化リスク
建物は年月とともに老朽化します。そのまま放置すると家賃を下げざるを得なかったり、大規模な修繕や建て替えが必要になる場合も。
しかし、定期的にメンテナンスを行えば、建物の寿命を大きく延ばすことが可能です。実際に海外では、築100年以上でも資産価値が高まっている物件もあります。
将来の修繕に備えて、あらかじめ修繕費用の積立を計画的に行っておくことが大切です。
■ 自然災害・火災などのリスク
火災や地震、台風などの自然災害によって建物が損壊する可能性もあります。
万が一の災害に備えるには、火災保険や地震保険の加入が欠かせません。
ただし、地震や津波による損害については、保険でも全額が補償されるわけではないため、別途修繕費の積立をしておくことも重要です。
■ 金利上昇のリスク
ローンを利用して投資物件を購入する場合、将来的な金利の上昇によって返済負担が増えることがあります。
ローン残高が多いうちは特に注意が必要です。返済額の変動を抑えたい場合は、長期固定金利のローンを選ぶと安心ですが、変動金利に比べて初期の金利は高くなります。
どちらが自分のライフプランに合っているかを検討したうえで選択しましょう。変動金利を選ぶ場合でも、将来の金利上昇を想定して、差額分を積み立てておくと安心です。
万が一のときには繰上返済や修繕費に充てることも可能です。
リスクだけじゃない!不動産投資の魅力とは?
■ 安定した家賃収入が期待できる
不動産投資の大きな魅力は、毎月の家賃収入が比較的安定している点です。
株式の配当金とは違い、景気の波の影響を受けにくく、長期にわたって安定した収入源として期待できます。たとえ景気が後退しても、すぐに退去が相次ぐということはあまりなく、特に人気エリアや管理が行き届いた物件であれば、入居者が途切れにくい傾向にあります。
■ 老後の年金収入にプラスできる
公的年金だけでは老後の生活に不安を感じる方も多いでしょう。
不動産からの家賃収入があれば、年金にプラスして毎月の生活費を補うことができ、ゆとりある暮らしを実現しやすくなります。
■ インフレ対策にもなる
物価が上昇する「インフレーション」が起きると、お金の価値が下がってしまいます。例えば、現在1,000円で食べられるランチが、将来的には2,000円になることもあり得ます。
一方で、不動産は物価の上昇に合わせて家賃を見直すことができるため、インフレに強い資産といえます。
■ 少ない自己資金でも始めやすい
不動産投資ローンを活用すれば、手元の資金が少なくても物件を購入して投資を始めることが可能です。
ローンを利用して投資額を大きくすることで、より高いリターンを目指すこともできるのが魅力です。
■ 資産価値を維持・向上できる可能性も
災害対策や定期的な修繕・リフォームをきちんと計画しておけば、建物の資産価値を長く保つことが可能です。
しっかりと管理された不動産であれば、築年数が経っても高い価値を維持することができ、長期的な資産としても安心感があります。
まとめ
「不動産投資はやめておけ」と言われる背景には、「事業を始めるのはハードルが高く、リスクもある」という考え方があるのかもしれません。
時代に合ったアイデアを取り入れることで、安定収入だけでなく大きなリターンを目指せる可能性もあります。
もちろん、どんな投資にもリスクはつきものです。
不動産投資を始める際には、そのリスクを理解し、無理のない範囲の資金で取り組むことが大切です。